行政書士西中法務事務所です。

近時、当事務所には「一式工事」の建設業許可に関するご相談が非常に多く寄せられています。

建設業の29業種の中でも、少し特殊な立ち位置にあるのが「一式工事」です。
今回は、その中でも特にご相談が多い「建築一式工事」についてお話しします。

ご相談で圧倒的に多いのが、「10年の実務経験で自分はやってきたのだから、10年証明で建築一式の許可を取りたい」というご要望です。

ですが、結論から申し上げますと……10年の実務経験証明で建築一式工事を狙うのは、全くお勧めできません。

なぜでしょうか?今回はその理由を分かりやすく解説します。


理由①:そもそも「本当に建築一式工事なのか?」という高い壁

一番の理由は、あなたが過去10年行ってきた工事が「行政の基準で本当に建築一式工事と認められるか?」という点です。

例えば、当事務所のある千葉県の場合、建築一式工事と認められるためには、主に以下のような厳しい実態が求められることが多いです。(手引き等に明記なし)

  • ① 元請工事であること(下請工事は原則認められにくい)
  • ② 建築確認申請を伴うような大規模・総合的な工事であること
  • ③ 補足として、請負金額がある程度高額であること

単に「大工工事も内装工事も電気工事もまとめて全部やったから一式だ」と考えていても、行政の審査では「それは単なる大規模な内装リフォーム工事(内装仕上工事)であって、一式工事ではありません」と弾かれてしまうケースが後を絶ちません。


理由②:下手に証明しようとすると「藪蛇(やぶへび)」になるリスク

ここが一番恐ろしいポイントです。

例えば、「自分は一式工事をやってきた」と信じて過去10年の請求書や注文書を引っ張り出し、行政機関に相談・確認に行ったとします。

そこで「これは一式工事ではなく、内装解体や内装仕上工事ですね」と判定されてしまった場合、何が起きるでしょうか?

【ここに注意!】
建設業許可を持っていない状態(無許可)で受注できる「軽微な工事」の範囲は、工事の種類によって異なります。

  • 建築一式工事:1,500万円未満(または木造住宅で延べ面積150㎡未満)まで無許可でOK
  • 専門工事(内装など):500万円未満までしか無許可で受注できない

もし過去に「一式工事のつもりで1,000万円で請け負っていた仕事」が、審査によって「内装工事」だと判定されてしまったらどうなるでしょう?
「許可なく500万円以上の専門工事を請け負っていた(=無営業許可・建設業法違反)」という事実が明るみに出てしまうリスクがあるのです。

まさに「許可を取りに行ったはずが、過去の違法状態を暴露することになってしまった」という「藪蛇」の事態が起きかねません。


まとめ:技術要件でお悩みの場合は、まずご相談ください

このように、建築一式工事を10年の実務経験で証明しようとすることは、過去10年分の膨大な資料集めという労力だけでなく、業種判定の難しさや法的なリスクを伴います。

どうしても一式工事を取りたい場合は、10年証明ではなく国家資格(建築施工管理技士や建築士など)の取得を目指すか、まずは取得しやすい専門工事(大工・内装など)から確実に許可を取っていくのが安全で賢い選択です。

「自分がやってきた工事はどの業種に当たるのだろう?」
「自分の過去の注文書で実務経験証明が通るだろうか?」

とお悩みの方は、無理にご自身で判断してリスクを冒す前に、まずは一度当事務所までご相談ください。専門家の目から、最もリスクが少なく確実な許可取得ルートをご提案いたします。